今宵は予定も気分も決まらないまま、ふらりと井荻駅で降りました。
なぜ井荻駅なのか、不思議な気がします。なにせ30年以上西武新宿線を使っているのに、一度も降りたことがない通り過ぎる駅。今日が初めて降りる駅なのですから。
西武新宿駅からなぜか各駅停車にのって、それもドアが閉まる間際に思いついたように、いや何かに呼ばれるように降りたような気がします。駅前の喧騒を抜けて、住宅街へと足を進めます。なぜか歩きたくなりました。たくさん素敵なお店があるのに、それを横目でみながら・・・でも今日はここではないという不思議な気持ちで、メインの南口からわざわざ地下道を抜けて北口へ、そして住宅街へ・・・
路地を入ったところのワインの看板が目に入ってきます。なぜかその看板に引き寄せられるようにお店の前へ、小さな小窓から覗くと、お店の雰囲気がじんわりと伝わってきます。(写真だとわかりにくいかもですが、木のドアの横にちっちゃな小窓があるんです)

80本のワインという意味のお店の看板、そして木目調のたたずまい。何かに引き寄せられるように 木のドアを開けてお店に入ります。あっさりとした感じの品の良いマスターが出迎えてくれます。 お店の中も優しい木のぬくもりを感じさせるカウンターがメインのワインバーです。
不思議なまでに自然な気分で、勧められるままにカウンターの真ん中に座ります。実は、おっちゃん的には珍しいことなのです。いつもは初めてお邪魔するお店では隅っこに座るのですが、今日は何の違和感もなく、お勧めされるがままに、何かにいざなわれるかの如く自然に座らせていただきました。
メニューを拝見します。今日も暑い一日だったし、まずは最初はビールだよね。・・・で目に飛び込んできたのがハートランド。オカルトなのですが、ハートランドビールがメニューで目に飛び込んできたお店で今まで外したことって一度もないんです。決して押しつけがましくないんだけど、そこはかとなくプロのお店という感じというか。いろいろ細かいところにもプロフェッショナルな、上品なこだわりが感じられる気がするんです、押しつけがましくなくて、そして決して外れない。 あ、でもおっちゃんのオカルトですよ(笑)
さてハードランドをぐっと一息呑ませていただいて、ほっと落ち着いたところでメニューを見ます。 もともと一人飯をと思って入ったので食事をと思ったのですが、なんとどれも魅力的すぎる・・・
あっさりとした感じの品の良いマスターにお勧めを相談するのですが、これがなかなか決まらない。どれも滅茶苦茶、美味そうじゃあないですか。そんな時に目に飛び込んできたのがパテドカンパーニュ!

すみません、ごめんなさい、もう最高です。こんな味を求めていたんですね・・・ きっと私。。。
ということでまずは幸せになったところで、メインの一人飯をマスターに相談します。
三種のキノコのパスタ トリュフとクリームのソースをお勧めいただき即決。それからハウスワインの白をいただきます。

これがまた、ちょっと最近食べたパスタの中では類をみない美味しさ、もう優勝です。 そうこうしているうちに、常連さんが何人か入ってきました。カウンターの真ん中に座っちゃたので 当然ながら常連さんに挟まれちゃったりします。みなさん幸せそうにワインをボトルで頼まれていますが、なんとおっちゃんにもおすそ分けでワインをご馳走していただいちゃいました。これがまた美味、今日の私ってなんて幸せなのでしょうか・・・
さっと食事を済ませるはずが気が付いたら2時間を超えていました。でもお財布には取っても優しくって、どうしてこんなに良くしていただけるんでしょうか。幸せと感動の奇跡の一夜でございました。
常連さんにもまたおいでよ!って言われて思いっきり”はいっ!”って返事しちゃいました。絶対、またお邪魔しますね。どうぞよろしくお願いいたします。
おまけ:
店の名前は「キャトルヴァンヴァン」。フランス語で“80のワイン”を意味するこの言葉には、店主の こだわりが詰まっているんだと思います。
100でも50でもなく、あえて80。選びきれないほどではないけれど、十分に迷わせてくれる絶妙な数。
そしてフランス語で「Quatre-vingts」は、フランス語の数の言い回し特有の形式(4×20=80)。
この言い方自体がちょっと詩的で、ワインのように粋な響きがある。
本当にあっさりとした感じの品の良いマスター、だから決して自分では言わないんでしょうけど、 いろいろな想いが詰まった素敵なお店でした。
こんなお店と出会えるなんて、奇跡のような一日でした。あー幸せ!