今日は上井草駅をキッチン南海とは逆の方へ少し歩いて洋食屋 アストラーザさん へ。
駅から通りを少し歩いた場所にあって、昔ながらの洋食屋らしい落ち着いた佇まいだ。

注文したのは名物のポークソテー。
味付けはあえてシンプルに塩。塩だけで焼き上げた厚切りの豚肉の上に、バターがぽんとのって出てくる。これがもう、見た瞬間に「量、間違えてないか?」と思うほどの迫力だ。付け合わせすら一切ない肉だけに凄みすら感じさせる逸品である。

メニューを見ると、ポークソテーは220g、320g、420g、520g。
数字だけを見ると、軽く腕まくりをしたくなるラインナップだ。

さすがに420g以上は無理だろう、と自分に言い聞かせて320gを選んだのだけれど、運ばれてきた一皿を見た瞬間にその覚悟は揺らぐ。
分厚く焼かれた豚肉の上に、控えめにのせられたバター。
味付けは塩だけという潔さが、かえって肉そのものの力強さを引き立てている。
正直に言えば、年を重ねた体にはこの量はきつい。
それでも、ついつい頼んでしまう。
たぶんそれは「今の自分がどこまで食べられるか」を確かめたい気持ちと、
こういう料理を前にしたときだけは、少し若い頃の感覚に戻りたくなるからなんだと思う。
肉はしっかり厚みがあって、噛むたびに旨味が広がる。
塩とバターだけという潔さが、かえって豚肉の力強さを引き立てている。
途中でナイフを置きたくなるほどのボリュームなのに、不思議と最後まで味に飽きない。
トッピングで頼んだサラダは90円。
正直あまり期待していなかったのだけれど、これがちゃんとしたサラダで、ドレッシングもきちんと美味しい。こういうところに、長く続いてきた洋食屋の矜持を感じてしまう。

店内には、早稲田大学ラグビー部の写真がずらりと飾られていた。
なるほど、この量にもこの肉の迫力にも理由があるのだと、妙に納得する。
サイドで頼んだ90円のサラダも侮れず、さっぱりとしたドレッシングが、重たい一皿の良い箸休めになってくれた。
皿を空にした頃には、もう満腹という言葉では足りないくらいの充足感。
派手さはないけれど、真っ向勝負の洋食。
少し疲れた一日の終わりに、こんな一皿で受け止めてくれる店があるのは、なんだか心強い。
腹いっぱいで店を出ると、さすがに次はもう少し軽めでいいかな、なんて思うのに、
きっとまた来たら、メニューを前に同じように悩むのだろう。
その時間も含めて、ア・ストラーザのポークソテーなのだと思う。
<おまけ>
メニューに書かれているアストラーザーはA・STRADAと書かれている。A・STRADAはイタリア語で
「道の途中」という意味らしい。
なるほど、ここは通りすがりの腹ぺこを黙って受け止めてくれる、そんな洋食屋だ。
年を重ねても、道の途中で足を止めてしまう店があるのは、きっと悪くない。
今日もごちそうさまでした。
