西武新宿線 新井薬師前駅 手打ちそば 吉(きち) さん

今日は新井薬師前という駅で降りました。高田馬場からもほど近くって、各駅停車しか停まらないちょっとローカルな駅なんですけど(ごめんなさい)名前の通りで駅を降りるとお寺と商店街が広がっています。隣の中井駅ともちょっと違うんだけど、やっぱりどこか懐かしい時間が流れている感じのする街なんですよね。

そんな街で駅からほど近い裏通りに素敵なお蕎麦屋さんを見つけました。『手打ち蕎麦 吉』さんです。何が素敵って、オープンで大きなガラス越しに見えるコンクリート壁のお洒落な店構えもさることながら、注意書きがいいんですよ。

ちょっと写真がうまく撮れていないのだけど、下の方にこう書いてあります。『当店は蕎麦と供にお酒を楽しんでいただきたく営業しております。そのため天ぷらセットや丼ものなどのお食事メニューはございません。ご了承ください。』 ね、とってもいいでしょ。この潔さがなんともおっちゃんの心を揺さぶります。というか心を揺さぶられる間もなく、あっという間にお店に入ってカウンターに座っていたんですが、まあその辺はさておき、まずはビールで喉をうるおしたら早速おススメをおしえてもらいます。今日は一人飯というよりは一人酒に近いんだけど、さつま揚げと煮込みをご馳走になりました。そして日本酒を冷やでくいっと。。。。そんな一人飯もいいですよね。

さつま揚げ(ごめんなさい、半分ぐらい食べちゃってます)もひと口かじるとプリッとした弾力がありながら、口の中でふんわりと柔らかくほどける上品な食感。噛むたびにほんのりとした甘みが広がり、玉ねぎの自然な甘さか、いやらしくない絶妙な加減で食欲をそそります。揚げたての香ばしさも相まって、思わず「もう一枚」と写真を撮るのも忘れて気が付いたら半分ぐらい食べちゃっていました。

でもそのさつま揚げを凌駕して、もはや感動の域に達しているのが煮込みなんです。(写真の左奥のお皿です)多分、お蕎麦の返しを使っているんだと思うんだけど、丁寧に下ごしらえされているお肉はほろほろ、大根はしみしみ、しっかり煮込んであるからこその深い味わいが口に入れるたびに豊かな味の層が広がります。そしてそこへ冷やした日本酒をそっと一口含むと、煮込みの深いうまみがすっと溶け出して冷酒の爽やかな香りとともに余韻が口の中でゆったりと至福の時を奏でてくれます。まさに職人さんの仕事の賜物なんでしょうね。これはちょっとなかなか出会えないレベルの美味しさだなぁ。。。

あっというまに時間が過ぎていきます。この至福の時間をずっと続けていきたい……と思いつつも、やはり最後はお蕎麦で〆になります。薫り高い10割蕎麦がこれまでの味わいをそっとまとめあげ、幸せな時間を静かに締めくくってくれたのでした。至福の一夜でした。

おまけ:

新井薬師前という駅名はすぐ近くの 新井薬師 梅照院(ばいしょういん)というお寺が由来なんだそうです。眼病平癒や子育てのお寺として有名で、地元の方には「新井薬師さま」と呼ばれて親しまれているそうで、境内には梅の木が多くて、春になると梅まつりも開かれるんだそうですよ。今度はお寺をお参りしてから、『手打ち蕎麦 吉』さんへお邪魔しようかなあ。煮込みとお蕎麦は外せないけど、ほかにもそそられるメニューも沢山あったので、今から楽しみです。次にお邪魔させていただくときもどうぞよろしくお願いいたします。

タイトルとURLをコピーしました